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側頭葉てんかんとの共通点や違いについて

医師

「側頭葉てんかん」は、痙攣などの症状があらわれる「てんかん発作」が伴うため、パニック障害と間違われることがよくあります。

 

この「てんかん発作」は、脳の側頭葉という部分の神経細胞が過剰に放電することが原因で起こります。てんかん発作を生じさせる脳の過剰放電の主な原因には、大脳皮質の形成障害と、大脳にできた傷の2種類があるとされています。

 

側頭葉は脳の左右側面に位置し、言語、記憶、聴覚をつかさどります。この側頭葉の深部にある「海馬」と呼ばれる器官に放電が起こるのが側頭葉てんかんです。

 

側頭葉てんかんの発作は「複雑部分発作」と呼ばれ、他のてんかんの症状とは大きく異なり、動作が停止して、一点を見つめる、口や舌をペチャペチャと鳴らす、意味のない言葉を繰り返す、徘徊するといった行動が見られますが、ほとんどの場合、ほんの1〜2分で終了し、5分も経てば完全に落ち着いた状態に戻ります。

 

発作が起きている間、患者には意識がないものの、発作が起きる前の前駆症状によって、発作が起きていたことを自覚しているのがほとんどです。

 

発作前の前駆症状には、不安感や恐怖感のほか、意識が薄れていく感覚などがあります。患者によっては、人格が攻撃的に変化することもありますが、発作そのものは激しいものではありません。

 

側頭葉てんかんによるてんかん発作も、パニック障害のパニック発作も、発作が起きる前に強い不安や恐怖を感じるという共通点があります。しかし、パニック障害では口を鳴らしたり徘徊するといった症状はありません。

 

側頭葉てんかんは、海馬の萎縮や脳波に異常があらわれる病気なので、脳の画像診断や脳波検査を行なうことで、パニック障害ではないことがすぐにわかります。

 

側頭葉てんかんの検査・治療について

MRI検査

脳の検査では、まずMRI(磁気共鳴画像装置 / Magnetic Resonance Imaging system)によるスライス撮影で海馬の萎縮があるかどうかを調べます。ここで異常が見られない場合は、脳波を調べる検査を行ないます。

 

一連の検査の結果、側頭葉てんかんだと確定した場合は、放電の震源地を切除する外科手術が行なわれます。

 

もっとも、最近では、海馬を切らずに済み、記憶力障害の後遺症が残りにくい「MST(軟膜下皮質多切術)」という画期的な治療法が開発されています。

 

ちなみに、側頭葉てんかんは両親などから遺伝する病気だと思われているようですが、必ずしも遺伝が原因とは言い切れません

 

発作を起こしやすい体質を受け継ぐ人もいますが、こうしたケースはごく稀だといえます。仮に遺伝で受け継いだとしても、ほとんどの場合、思春期の頃までには自然に治るものなので、過度に心配する必要はないでしょう。